雑記

ネトゲの淡い初恋の話

2002年5月16日、PS2でオンラインRPGファイナルファンタジー11が発売されました。
2002年、今から19年前です。
オンラインRPGとは、同時接続している何千人のプレイヤー同士でストーリーやクエストを協力して遊ぶゲームです。
従来のファイナルファンタジーのようにガンガンレベルを上げるもよし、
ストーリーを進めるもよし
サブクエストを楽しむもよし、
生産というミニゲームでゲーム内通貨をもりもり稼ぐもよし、
綺麗な風景を眺め、フィールド音楽を聴くだけでもよし・・・
楽しみ方はプレイヤーの数だけ存在します。
私はというと最初のうちはレベルを上げ大勢のプレイヤーと一緒に強敵を倒したりと王道の遊び方をしましたが
その後まったりプレイヤーに。
チャットで雑談したり一人でコツコツ遊べる生産を極めてみたり。
その頃出会った人たちとの思い出です。
※ちなみにFF11は11051時間に含まれてません。プレイ時間不明ですがFF11はプレステ2台使いすぎて壊しました。

いつものように私は首都の片隅で生産をしてた。バザー(プレイヤー同士が売買する場)で買った肉と香辛料を炎のクリスタルで焼く。調理という生産スキルだ。自分のスキルが低いと簡単な調理しかできないが繰り返すうちすこしずつスキルが上がり通常より美味しい品が出来上がる。ゲーム内の”美味しい”とは食べるとキャラのステータスがより上がるということだ。美味しく焼けた肉はアタッカーに飛ぶように売れる。

↑絵が下絵のままなのは手を抜いているから

私「ミスラの串焼きいかがですか〜攻撃力アップ○○〜」

白チャット(オープンチャットだが聞こえる範囲が狭い)で売り込んでいた時、彼らに出会った。

彼ら「2ダース売ってくださいw」

彼らは戦士とモンク。実名そのままのような名前、装備も標準的な装備。一生懸命話しかけてくるのだがチャットが遅く誤字が多い。言葉づかいも幼い感じ。高校生か中学生かな?ういういしいのでだいぶ安く売ってあげることにする。こちらはお金も時間もあるまったりプレイヤーだしね。すると今度材料を持ち込むから安く作ってくれないかと頼まれた。了解してフレンド登録をする。手を何度も振って賑やかに彼らは帰っていった。

↑モンク(武闘家のようなジョブ)  ↑戦士

彼らは約束通り定期的に材料を持ってやってきた。
持ち込まれた材料を受け取って調理して渡すまで10分くらい時間がかかる。その間3人で他愛もない会話をしていた。彼らは同じ高校に通う幼馴染の男子高校生だという。リアル情報を聞いてもないのにどんどん話す彼らを”リアルを明かすのは危ない”と嗜めたり、親や先生の愚痴を聞いてるうちになんだか保護者のように慕われていったと思う。

そんな和やかな交流を続けていると、戦士の装備が急に整っていきログイン時間が激増した。私のログイン時間は朝7時から1時間と午後〜夕方まで。ある朝ログインすると戦士がログインしてた。高校生なのに?試験休みでもない時期に?

↑戦士の良い装備

フレンド登録している同士だと相手がパーティを組んでいるかがわかる。戦士は朝早くから誰かと2人きりでパーティを組んでいるようだ。いつも一緒のモンクはいない。そんな事が何回かあった。

次戦士が来た時に心配半分興味半分で聞いてみることにする。

戦士「俺、FF11で彼女できたんですよw今度紹介したいけど彼女、夜〜朝しかログインできなくてw」

わぁ。ネトゲ恋愛は珍しくないが君がか。
すでにネトゲを通じて知り合ってリアルで交際するカップルを何組か知っていた。しかし純朴な高校生がネトゲで初彼女か。しかもなんだそのログイン時間は。何してる子なんだ。

戦士「彼女、高校中退したフリーターで飲食店で働いてるからログイン遅いんだ」「彼女がくるまで俺レベル上げて良い装備買おうと思ってw」

戦士は高校生でしょ?学校に行きなさい。でも私が言ったところで恋愛に浮かれた戦士にこんな月並みな言葉は響かなくて。

ある日曜日、戦士に誘われてパーティーに参加すると知らない女の子がいた。この子が彼女だろう。

彼女「はじめまして」とにっこり微笑む(そういうコマンドがある)彼女。彼女も調理を私に頼みたいらしく私は彼女ともフレンド登録した。
戦士「sawaに紹介できてよかったw」 親に紹介するような感覚だろうか。

↑でれでれな戦士と彼女らしき女キャラ

彼らはどんどん仲良くなっていき、ついに戦士は日中もずっとログインするようになってしまった。
このままじゃ彼は高校中退だろう。リアル友達のモンクも注意するがきかないとぼやいている。
そんな感じで1ヶ月すぎた頃。

戦士のキャラが消えた。

これはゲーム上のキャラを削除したということだ。
2度と戦士はこの世界に現れない。なんだなんだ??フラれたか??

夕方ログインしてきたモンクが血相変えて走ってきた(想像)。

モンク「戦士の親がキレて戦士のプレステ、2階から投げ捨てた!!!!

↑こんな画像は無料サイトにないからPhotoshopで合成した 背景のフレアとレイヤーフィルターが見事にマッチして我ながら上手い

近所に住んでるモンクは怒号と物音を聞きつけて外に出たという。すると戦士の家の前には無惨に散ったプレステがアスファルトの上でキラキラしてたそうだ。
慌てて戦士の部屋にいくと父親にぶっ飛ばされた戦士と泣く母親という地獄絵図。

(ちなみにゲーム機を壊してもキャラは消えない。親がしっかりパソコンからログインしてキャラを削除したんだろう)

モンクは興奮気味に誤字だらけで一気にしゃべったあと私に頼み事をしてきた。

「俺、戦士の彼女とフレンド登録してなくて。多分あいつが嫉妬深かったからだろうね。sawaから彼女に伝えてくれないか
戦士が『なんとかして連絡するからリアルで会って結婚しよう』って伝えてって。」

高校生が甘酸っぱいを通り越してだいぶしょっぱいけどこれも若さか。携帯でやりとりしてるんじゃ?と思ったが戦士の携帯はその場でへし折られたらしい。
原文そのままちゃんと伝えようと私はガラケーで画面写真撮って保存した。モンクはほとぼりが冷めたら自分のアカウントでログインさせるからと励ましてくると言い残しログアウトしていった。

託された私は彼女がログインすると思われる、私の家族も寝静まった夜中にそっとログインする。

いた、彼女。

フレンド同士が使えるチャット機能を使って話しかける。戦士のことで伝えたい事がというと彼女からパーティに誘われた。
パーティに入るとお互いの居場所が表示される。彼女は私の家の前まで走ってきて可愛らしく手を振った。装備は見た目重視の値段の高い白い装備。ウェディングドレスだ。
金策に勤しんでいた戦士からの贈り物だろう。すごく人気で高くて金策に時間がかかる。そりゃ学校行く暇なんてないな。ゲームの中では結婚をしていたようで(公式に結婚式のサービス有)結婚指輪をはめている。

モンクから聞いたことを彼女に告げる。伝聞でこんなこと聞くことにになるなんて申し訳ないが仕方がない。一言一句違わず伝える。黙って聞く彼女・・。心が痛む。何かいいかけて口をつぐむ彼女(吹き出しが出ては消える)。障害があるから盛り上がる恋。若いっていいね、16歳と17歳の初恋。眩しいじゃないか。

全部話終わってしばらくして彼女は言った。

彼女「わたし、リアルは男なんだけど・・」

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