妻という字を毒と書いてしまう笑い話を聞いたことがあるでしょうか。
サラリーマン川柳にも
続柄 あわてて「妻」を 「毒」と書き (いじめられ夫) 2001年
すてきな川柳が入選していますね。
「妻」「毒」 決して間違えてはいけない意味の漢字が
こうも似ているのはもはや罠。
そんな罠にかかった男性を実際に見たことがあります。
ペーパーレス化の波が打ち寄せない昭和気質の窓口で来客に申込書とボールペンを差し出すパート主婦50歳sawaですこんにちは。
妻を毒と書きたい夫の心情はともかくとして、
書き間違えるコトはちょっとフォローして差し上げたい。
大人だって読めるけど書けない漢字ってたくさんありますよね。
不思議なものでいざ書こうと思うと当たり前に読める簡単な漢字すら書けやしない。
記憶ってぼんやりうっすらとしたものなのでしょうか、人間の脳は謎だらけ。
さらにフォローすると、窓口のように人が見てる前で文字を書こうとするとますます書けなくなるんですよ。
例えば銀行の窓口で定期を解約する時、
宅配便を出すのに伝票がなくて慌ててカウンターで記入する時、
住民票を取ろうと役所に行ったら住所の「丁目番地」を略すなと叱られ書き直す時、
慌てるとなおさら漢字がでてこなくなりませんか?
慣れない場所でいきなり書けと言われたら普段できることもできなくなるものなんです。
そんな経験をしてますからわたしはお客様が困って書類から顔をあげたらすかさず助け舟を出してまいりました。
今日は何月何日なのか、
住所は都道府県から書くのか、
電話番号は携帯でもいいのか、
漢字がとっさに出てこないお客様にわたしがメモに書いて見せたりすることもありました。
お客様「ド忘れしちゃって(えへへ)」
わたし「わたしも良くあります(うふふ)」
ホスピタリティーあふれる昭和気質の窓口。
しかしそんなフォローも間に合わず
妻という字を間違えてしまった男性の中でも印象に残っている二人をご紹介しましょう。
一人目は70代男性。
背が高く痩せたその男性の字は大きく、
全ての項目を丁寧に記入していました。
ためらいもなく書き順も正しく
自分の氏名、
奥様の氏名、
続柄と書き進み
記入欄いっぱいに大きく書かれる
毒の文字。
せめて彼がまだ若ければ。
妻と書き慣れていないお年頃だったなら。
しかし彼は70代。
彼は今まで何度妻のことを毒と書いてきたのでしょうか。
続柄に書かれた毒という字に違和感を持つこちらが間違っている気がしてくるほど堂々とした毒の文字。
彼の毒さんがどんな方なのか少し気になります。
書類に間違いがあれば本人に訂正していただく必要がありますが
「妻と毒、書き間違えていますよ」とは言いにくく。
軽いミスはわたしが訂正できますから
赤ボールペンで毒を消し妻と書き直してみました。
あぁ赤訂正することでなお際立つ毒の文字。
その書類は7年保存。毒は今も地下書庫に封印されているのです。
二人目は20代前半の若いお兄さん。
「実は先日結婚しまして・・
嫁の手続きをしにきました」
わたしは聞き逃しません。
嫁と発音する前の照れくさいような、
嫁?妻?なんて呼んだらいいのか迷う恥じらい一瞬ためらう感じ。
うひょお甘酸っぺええええ!
初々しいいいい!
見ず知らずの窓口の50歳パートを春のように浮かれさせたとはつゆ知らず彼は書類の記入をはじめました。
文字を書くよりキーボードを打つことに慣れていそうな彼の字は少し丸くかわいい文字。
新しい住所
彼女の新しい苗字
そして、妻という新しい続柄・・・・
はて?
みたいな顔で一瞬ペンが止まりましたが多分こんな字だよなという風に書く彼。
彼は妻を苺と書きました。
ふぁああああああああああああかわいいいいいいいいいいいいい
永年保存したいいいいいいいい!
しかし彼は書いた自分の字を見た瞬間
「アワッ」(本当に言った)
と言って顔を苺のように赤くしてペンでぐしゃぐしゃと苺の文字を消し、
携帯で妻と打って見ながら正しく書き直し、逃げるように去ってしまいました。
残念ながら読めないくらいに消されてしまった続柄苺。
しかしその愛らしい苺はわたしの脳みそにくっきりはっきり今も深く濃く刻まれております。
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