私は窓口のパート6年目。
窓口で接客のパートをしているといろんな人に出会う。
この職場では老若男女がいろんな用事で訪れ順番を待つ。
感じの良い人ばかりではないのが接客パートの難しいところ。
窓口といえば銀行などでお馴染みの番号札発券機。
お客様がボタンを押すと番号札を吐き出し
こちらがボタンを押すとパネルに客の番号を表示し「○○の番号をお持ちの方、窓口にどうぞ」と機械音声でしゃべるアレ。
我らの発券機は飛沫避けアクリルシートが発券機のスピーカーの前に貼られちゃったから前より音が小さくなってしまった。
そのせいで一定の年齢以上の人が反応しない時がある。
この日もそんな感じで何度か機械の呼び出しは無視された。
「おい!!!なんで俺の番号呼ばないんだ!!!」
いきなりオッサンが怒鳴り込んできた。
番号札を見ると今機械が呼んだ番号だ。
機械の声が聞こえなかったんだろう。
「俺は次だな!と思って気をつけて聞いてたんだぞ!
なのにパネルには番号が表示されるのに呼ばないじゃないか!!」
パネルに表示されたなら呼ばれてんだよと思いつつ
「申し訳ございません、機械の音声が聞き取りにくくなってるようで・・」
と上っ面だけ謝ってそのまま要件を聞こうとしたがオッサンの怒りは簡単におさまらない。
「いいや!俺は気をつけてたんだ!次だったから!絶対に呼ばれていない!!!」
カチンとくるのは窓口だって人なんだから当然だと思う。しかしこちらもプロだ。
「申し訳ございません、飛沫避けのせいで音が小さくてご不便をおかk」
「いや!!!俺は呼ばれて無いからな!!俺は呼ばれてないから!!!」
謎の主張である。
理不尽な振る舞いをされるとこちらはプロだが限度もある。
「俺呼ばれてないから!」と言って窓口から去るオッサン。その背中に目掛けて
「じゃあもう一回お呼びします!」と怒りを隠さず怒鳴る。
そのまま手続きすりゃいいのになんだこのやりとりは!オッサンふざけんなよ!
と怒りに任せて手元の再呼出ボタンを押す。
「○○の番号をお持ちの方、窓口にどうぞ」
この場で冷静なのは機械だけだ。
さすがに今回は聞こえたようでオッサンが現れた!
こちらはムカつきマックスだしオッサンだってムカついてるだろう。
手続き終わるまで苦痛だが仕方ない我慢だプロだからそれくらいやってみせるぞ!
と思いきや。
おっさんは別人のように穏やかな顔で現れた!!!
この数秒でおっさん入れ替わったか?と思うほどである。
面食らうがこちらはプロだ。
テキパキ書類を広げるオッサンに対し頭を急冷しながら対応する。
「こういう手続きをしにきました」
げっ
この手続きは難解でほとんどの人が書類がそろっておらず1度で手続きが済まない。
おっさんの怒りが再沸するかもしれない。
手続きをしにくるだけでも面倒くさいのにそれが1度で終わらないときたら誰だってイラッとする。
ところがおっさんの書類は完璧だった!
これとこれが必要だというとカバンからスルスルと出てくるではないか!
こちらとしてもスムーズだと嬉しくなってくる!やりがいがある!
滞りなく手続きが終了するとおっさんは
「実は質問があるのですが」と切り出した
その質問がまた要点を捉えた正確な質問で
プロのこちらも「お客様お詳しいですね!」を連発する内容だった。
「確か2年前にこういう変更がありましたよね?」
「おっしゃる通りです!2年前これこれこうで!!」ってな具合に。
事前にネットで調べたりパンフレットを読み込んでいないとできない質問だ。
めちゃめちゃテンションがあがる客!
この時点でこちらの気持ちはご機嫌マックス。
オッサン、いやおじさんも「これでスッキリしました」と笑顔。
おじさんは広げた書類を片付けカバンを手に持つ。
さよならおじさんまた来てねと私が定型文の挨拶をすると
「先程は申し訳なかった、ありがとう(ニコ)」
といい、こちらに返事をさせる隙を見せず素早く立ち去ったのだ。
ジェントルメエエエエエエエエン!!!!!
かっこよすぎんだろ!!!!
なんだろうこの気持ち・・・・!!
翌日もずっと思い返して考えてました。
自分が間違っていることに気がついた時にすぐ受け入れられた事、
最後にお詫びができる事、
そのお詫びの仕方がジェントルマンな事に感動した話です。
こういう人になりたい・・。
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